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「でも、先生……。最上さんは、私に鑑定して欲しいなんて一言も」
「急に先生扱いしないでくださいよ。一ノ清さん。第一、それで言うと、君も浩介も占い師の先生なわけで、ここにいる全員がみんな先生になってしまいます。先生と呼ぶのは、混乱するので、お互いにやめましょうよ」
「はあ……」
そんな先生のような口調で、諭すように言われても困る。
今、ここで話題を反らすこと自体、反則ではないのか……。
最上が肩を揺らして、皮肉いっぱいに笑っていた。
「なるほどねえ……。よく分からないけど、占いを試金石にしようって言うのか?」
「まあ、そういうことです」
「そういうことって……降沢さん、私にはよく分からないんですけど?」
「まあまあ、これも占い修行だと思って、引き受けてくれませんか? 僕もこの人の内心が知りたいところなんですよ」
温和な口調だが、その実、有無をも言わさない感じがひしひしと伝わってくる。
(嘘……でしょ?)
そもそも、降沢は占いを信用しているのだろうか?
それすら、よく分からないのに……。
美聖は、唐突に何の関係のない話の渦中に置かれた気がして、冷や汗をかいた。
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