01 創造主

16/69
191人が本棚に入れています
本棚に追加
/689ページ
 タロットカードを使う占い師にとって、王道といっても過言ではないカードは、市販の教本も多く出回っている。  美聖の占いは、自己流だ。  占い学校に行ってコネを作るか、師匠に弟子入りして場所を提供してもらわないと、対面鑑定の仕事に就くのは大変だと言われることもあるので、自分の感覚一つで仕事にすることが出来た美聖は、本当に運が良いのだろう。  しかも、……若者に大人気のバンドの花形ボーカルを鑑定することが出来るなんて、よく考えたら、とてつもなく奇跡的なことなのではないか。 (ともかく……せっかくのチャンスだもの。頑張ろう……)  美聖は緊張しつつも、円卓の方に最上を誘導した。  他に客もいないので、カーテンは引かずに、美聖の向かい側の席を勧める。 「こちらにどうぞ……」 「はいはい」  最上は降沢に一瞥をくれつつ、大人しく椅子に収まった。 「何を占えば良いんでしょうか?」 「当然、今後の仕事について……だろう」 「……分かりました」  美聖は、タロットカードを円卓の上でシャッフルした。  展開スプ方法レッドは、ケルト十字法。  これも、どの入門書にも書いてある初歩的な占い方だ。  机の上に十一枚のカードを置く。     
/689ページ

最初のコメントを投稿しよう!