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「…………確かに、そうかもしれないわね」
「そりゃあ、結果は良くなかったですけど。わざわざ北鎌倉まで来てくれたのに、あれじゃあ、ちょっと最上さん、可哀相じゃないですか?」
「あれ? 美聖ちゃんって、最上初が好みのタイプだったの。もっと違うタイプが好きだと思ってたわ」
「そういう問題じゃありませんよ!」
そりゃあ、少しはイケメンだと思った。
……けれど、美聖が訴えたいのは、そういうことではないのだ。
「私に、何を秘密にしているのですか? 全部とは言いませんが、少しは教えてくれても良いのではないですか? トウコさん!」
「はいはい、美聖ちゃん。分かった。分かったわよ。理由……話すから」
鼻息荒く、美聖がトウコに近づくと、大きな図体を引きずるようにして、彼は後退した。
ややしてから、頬を撫でつつ、野太い声で上品に答える。
「最上 初の依頼を私が勝手に断ったのは、美聖ちゃんが、骸骨スカルの指輪を見ていたから……よ」
「えっ?」
一瞬、何のことか美聖には分からないほど、それは、ささやかな感情の揺れだった。
「……なぜ? 別にあれは、深い意味なんてなかったですよ。ちょっと気になっただけで」
「私は深い意味を感じたわ」
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