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「確かに、ファッションで骸骨をつけているのって、余り良い意味ではない気もしますけど……。でも」
「別に、それに関しては良いのだけどねえ……」
「…………はっ?」
「髑髏だけなら、悪くないのよ。ほら、タロットカードの十三番目のカードは死神でしょう? 骸骨の頭部分が髑髏だもの。私たちにも馴染深いカードだわ。死神は大アルカナの丁度、中間点。意味は単純に『死』ではない。折り返し地点よ。再生するための『死』という意味。最悪ではないわ」
「私…………そこまで、深読みできませんけど?」
確かに、タロットカードで『死神』を出したからといって、イコール『死』にはならない。
(じゃあ、何?)
髑髏の指輪が何だというのだろう。
益々、意味が分からないではないか?
「えーっと、つまり、引き受けなかったのは、髑髏柄のせいではないということですか?」
「まあ……そういうことになるわね」
「でも、画家は降沢さんで、トウコさんが仕事の依頼を受けるか受けないか判断するというのは……」
「それも、私たちの仕事の一つなのよね」
さらっと告げられた言葉の破壊力に、美聖は慄いた。
特に『私たち』という単語には、耳を疑いたくなるほど、謎が深い。
「どういう意味ですか?」
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