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「降沢の仕事を引き受けるか否かは、一応、私と美聖ちゃんの判断も必要なのよ」
「私もですか……?」
美聖が問うと、トウコもこくりとうなずく。
それは、雇用契約の条件になかった業務だ。
「…………それで、髑髏がどうして?」
頭の上に無数のハテナマークをつけながら、美聖が呆けていると、横からひょいと背の高い男が顔を出した。
「二人で、髑髏の話題ですか?」
「降沢さん!?」
「髑髏といえば、南米などでは再生の御守りですよね。日本でも、呪術などをする際に、しゃれこうべを用いる場合があるそうですよ。しゃれこうべを『宇宙』に見立てるんだとか、聞いたことがありますね」
「……はあ」
固まっているトウコと、美聖を見比べて、降沢はようやく目を丸くした。
「あれ? 僕なんか間違えましたか?」
「在季は、どうして普通に登場することが出来ないのかしらね?」
定位置と言わんばかりに、降沢が美聖の横に立っていた。
営業が終わって、てっきり自室に戻ったのだと思っていたのだが……。
いつも、気配なく近くにいるので、美聖の心臓に悪い。
「すいません、一ノ清さん。もしかして、驚かせてしまいましたか?」
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