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【第1章】遥か高き果ての森
一話 えっと…死んだみたいです。
「ほんっとうに、すまなかった!」
「………え?」
目を開けると、いきなり目の前で土下座をされていた。重力に従って、艶のある若々しい黒髪が流れる。
…何これどう言う状況?
キョロキョロと周りを見渡す。
4畳ほどの小さな部屋に、硬い畳。土下座をしている人と俺の間にはちゃぶ台があり、その上には急須とお茶受けと思われる菓子の包みが乗っている 。
レトロな二段冷蔵庫や古くさい感じのする戸棚を見て、昭和の日本家屋を思い浮かべる。
「…えっと、聞いてもいいですか?」
「何だい?」
頭を上げる青年。俺はその顔に心底驚いた。
薄い唇にキリッとした目元、鋭い鼻梁に細い顎。日本人を完璧にしたら、こう言う感じになるのかな?といった風な、超和風美青年。
一瞬完成された美貌に喉を詰まらせ、しかしすぐに気を取り直して口を開く。
「まず、あなたは誰でしょうか?」
「僕はイザナギ、万物を生み出した八百万の神の長、創世神伊邪那岐だ」
神様かよ。
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