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かつて、誠の妹がどうしても「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」を飼いたいと言いだし、好みのフォーンという毛色の犬が見つかるまで、あちこちのペットショップを探し続けた事が頭に浮かぶ。ペットならまだいい。既にこの世に誕生している中から自分好みの子を探すのだし、いついつまでにという期限も努力次第でどうにかできるものだから。
だが、子どもとなればそうはいかない。もしも出産が、九月や十一月にずれたらどうするつもりなのだろう。予定と違うからいらない、というわけにはいかないではないか。しかもなぜ「十月生まれ」の「男の子」が欲しいのかは聞いてもはぐらかされてしまい、結局理由を把握できないままなのもすっきりしない要因の一つである。
もちろん、用意周到で臨むのだろうと予想はできた。美奈子は、新しいことを始める時や初めての場所に行く時など、事前にネットや書店でできる限りさまざまな情報を調べていることを知っているからだ。美奈子だったら、百パーセントではないはずの産み分けを容易くやってのける気もする。そう考えたら、余計に身震いした。もしかしたら、自分はとんでもない女と結婚してしまったのかもしれない。
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