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「でも今はもう、ほとんどないも同然。ごく当たり前の健康診断だけといってもいい」 「スモーが三つに分かれて、好きな系統に進めるようになったことの恩恵ですよね」  タッチライターでメモを取っている私のことばに、親方は「そうだね」とは答えない。  同意したくない何かがある?  ちょっと気になったけど、今日まとめたい記事のメインは士幌山親方の憂鬱ではなく、新外人力士の紹介だ。 「メサくんはどれ系に育てるんですか? こんなに小柄だと、本格は不利だと思いますが」 「だからっていきなりクスリ打つの? あいつみたいに?」  隼ノ輝を指す。  少し不機嫌の波動がある。 「おい。見た目ばっかり作ってないで技も覚えろ」  隼ノ輝はへへっと笑っている。 「それは賛成できかねますけど、機械で戦うやつとか」 「マシンバトルかな?」 と唇を結び、 「それだと確かにデビューは早くなるが…。できればじっくり体を作らせたいね」  体力テストをされていたメサが士幌山のところへとんできた。 「でびゅー早い、いい。メサ、あすでもリキシ、したい」 「あす?」  親方おおいに苦笑して、 「どうしようかねレイコちゃん」 「ど、どうって言われましても…」  答えようがなかった。
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