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第ニ土俵はマシンバトル相撲の専用土俵だ。
こちらにも満員御礼が出ている。
人型ローダーを装着し、立ち合いを待つ二人のカ士。
一人は空港でアタシにファルルフの習俗教えてくれた、あまりガタイのよくないあのコだ。
「丸太山です。去年の新弟子で、新人賞取ってます」
「八卦良い、残った!」
行司が宣するや否や、二台がガッと動き出す。
組んず解れつぶつかりあって、やっと組み合い、押し合って、やがてタヤマが相手をマシンごと投げた…
「丸太山~!」
行事が軍配を掲げると、既に湧きっぱなしの場内がさらにどっと湧く。
そんな客たちの背中を見ていると、相撲シロウトの私にも、熱気がばりばり伝わってくる。
でも親方は苦い顔だ。
「丸太山君、いい勝ち方でしたね。これで勝ち越しですね」
「うんまあ…」
口調も苦い。
やっぱここは突っ込みどころだろう。
口を切ろうとしたそのタイミングで、親方の方が先に口を切ったので、私は戸惑って、ロをパクパクさせるはめとなったけど、親方は自分の考えにひたっていて、アタシのあたふたには全然気づいていないようだ。
「丸太山には悪いが私には…あれが相撲とはどうしても思えんのだよ」
「つまりそういうこと」
いつのまにかシュンテルが来ていた。
「親方には、俺らのは相撲じゃねーんだ。本格以外は外道なんだ。そんなふうに思われてて、頑張れる弟子がどこにいるよ」
「…」
「今のままじゃ、あのアフリカのチビも、本格押しつけられちまうぜ。早くデビューしたがってるあの子には、ちょい酷だと思わねえか?」
「それは…」
アタシは何とも答えられなかった。
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