新学期番格対決

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 その勝負に負けた方は次の一年間、勝った方の学園の言いなりになるというとんでもないお約束事が成されているのだが、そんなものを素直に受け入れるバカはいない。しかも自分たちとは関係のない卒業生の勝敗に、高校最後の一年間を左右されるとあっては黙っている者のいないのは当然で、だから新学期になると同時に、その不本意な勝敗を覆す為の集会が次年度の番格同士で行われるのである。  昨年の勝負で勝ちを手にしたのは桃稜学園、敗者側の番格である一之宮紫月が先程から面倒臭そうな顔をしているのはそんな理由からだ。今後一年間の自由を勝ち取る為には、勝者である桃稜番格を倒さなければならないのは言うまでもないのだが、この伝統行事にはもうひとつ厄介な決め事が付随していた。  まあ勝った方に花を持たせるというか利があるのは当然のことで、番格勝負のやり直しに応じてやる代わりに、何かひとつ希望する条件を出せるというのがそれだった。ところが今年度の番格である氷川白夜が突きつけてきた条件というのが耳を疑うような代物で、『一発ホらせろ』というものだったわけだから、その場にいた全員が呆気にとられたのは言うまでもない。  ホらせろ――とはつまり性交、セックスのことだ。しかもこの場所に集まった全員の目の前でそれをやれというのだから紫月が呆れるのも無理はなかった。
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