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新学期番格対決
「なんで俺がてめえにホられなきゃなんねーんだか……!」
半ばうっとうしげに鼻先には面倒臭そうな嘲笑の笑みまでたずさえて、一之宮紫月はそう言った。きわどい台詞とは裏腹な、ともすれば余裕しゃくしゃくを見せ付けんばかりの挑発的な態度で、だ。それもそのはず、彼にとっては不本意極まりない『伝統行事』とやらがこれから行われようとしているからである。
この春に高等部の三年になったばかりの彼は四天学園という高校の最上級生であり、今年度の番格的存在の男だ。この紫月の他に隣校の桃稜学園からは同じく新番格の氷川白夜、そしてもうひとつの白帝学園からは陰番で生徒会長の粟津帝斗というメンツが顔を揃えている。
新学期が始まったばかりの春四月、隣接する三つの高校の番格と呼ばれる面々が、それぞれの手下を従えて続々と集まってきていた。一見異様な光景――ここは埠頭の外れにある廃墟化した倉庫街だ。
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