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第二章 僕の修学旅行が波乱な件について
僕の耳に微かに聞こえてくる声は、とても興味深い部ものだ。
「ねえ。千夏!ぶっちゃけさ、正也ってどう思う?」
一歩間違えれば、自爆覚悟の行動だが、これは男として聞きたい。その質問をされている相手は、僕のヒロイン候補の1人なんだからだ。
「んー。あんまりまだ知らないんだよねー」
安定に傷付く言葉あざっす!
「あ。でも、雰囲気は、嫌いじゃないかも」
モゾモゾと恥ずかしそうにしている。こんなラノベ主人公のような想いをしていいんですか!?いいえ!いいのです!
「えー。だって、正也だよ?あたしはないかなー」
「タイプは人それぞれだもんね」
優しいフォローありがとう!千夏ちゃん。そして、君が僕の事をないわー。思っていてもどうでもいい。千夏ちゃんさえいればそれでいい。ん?どこかのアニメのタイトルみたいになったが、事実だ。
「あれ?正也起きてたの?」
「正也くん……。そのー今の話ってー」
「ん?何のこと?話?なんか話ししてたの?」
油断をしたぁぁ!だが、僕の名演技がこの窮地を救ってくれたのだ!母のお腹の中にこの才能を置いて来ていたら今頃、気まづさに押しつぶされているだろう。僕を才能と共に産んでくれてありがとう。
え?なに?少しは謙遜しろって?しないさ。そんなことをすれば、僕が負けたことになるからさ。
「な、なんでもない!気にしないで!」
落ち着きのない、動きを取りながら、自分を取り繕う。
「そ、そうなんだ!じゃあいいや!聞かないよ!」
普段の僕ならこれは聞いていた。でもいまの僕は、知ってしまっている僕だ。聞いても、空気が変わるだけで、あれも嬉しくはない。これは安定の知らんふりだ。
「詮索しない男、あたしは好きよ?」
テメェは僕の事、好きじゃないんだろ。万が一、テメェが僕の事好きでも、僕はテメェの好意は、微塵も嬉しくない。不愉快極まりないってやつだ。
「へー。アリガトウ」
「なんでカタコト?」
おっと。カタコトになっていたようだ。僕した事が、油断をした。普段通り、僕僕系男子に戻ろう。
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