異界の女神

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      ▽        GWの初日。  都心から、早い時間にも関わらず家族連れやらで混雑する電車を、乗り継ぎ乗り継ぎして約二時間半。俺はようやく、実家のあった町の駅に立っていた。  こんなにも寂れていただろうか。  最後にこの駅を使ったのは、実家で一人暮らしをしていた父の3回忌の時だったか。あれからもう、十年近く経ったのだと、荒れかけた無人駅に、時の流れの無常を感じた。  何ともやるせない想いにかられ、しばし呆然としていた俺を、荷物の重みが現実を思い出させた。  そうだ、今日はこれから山菜採りをするのだ。そしてその後は、その新鮮な山の幸を肴に、昼から酒盛りを楽しむのだ。  都会では決して味わえない贅沢な時間に思いを馳せ、胸に込み上げてい哀愁を押し込めて歩き出した。 「えー、そいではぁのぅ、各人で気を付けてぇ、山さへえってくんろぉ」  性別定かならざる老人が告げたのを合図に、この空き地に集まった十人弱の面々が、思い思いに山へと踏み入って行く。  ここは俺が生まれ育った地元ではあるが、だからと言って皆が皆、山菜採りのスキルを保持しているわけでは無い。そして俺にも、そのスキルは無いのである。  
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