異界の女神

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 そこで俺は、町役場に問い合せた。連休に入る前の事だ。すると丁度よく、町が主催する山菜採りのイベントがあると言う。正に渡りに船だと、喜び勇んで今日、こうしてそのイベントへ参加したのである。  しかし、イベントの集合場所に来てみると、俺は明らかに浮いていた。その場に集まったのは、地元民であろう老人が大半と、その孫らしき子供たちがちらほらと見えるのみ。下は幼児から、上は中学生くらいだろうか。  つまりは、歴戦の勇士とその直弟子と言った構成なのだ。俺を除いて。  彼らは皆、普段着に毛が生えた程度の軽装だ。目に付くそれらしき装備と言えば、ビニール袋と木の棒ていど。かけだし勇者並の貧相な装備だ。  翻って俺はと言えば、この日の為に揃えた、トレッキング装備一式。なんとなれば、山の中で一泊しても問題の無い重装備で身を固めている。  そんな俺からして見れば彼らは、思わず「そんな装備で大丈夫か?」と、問い掛けたい衝動に駆られるのだが。
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