話は虎蔵の父と母の出会いから始まる

11/14
前へ
/14ページ
次へ
あーーーれーーーー あー怖かった 父さんが 「母さんは怒ると怖い」 って言ってたけど あの優しい母さんの中にも悪魔がいるのかなー 悪魔がいるから魅力的なのかなー 女の人ってまだまだわかんないなあ また旅を続ける虎蔵 親方 俺やっぱり旅を続けることにしました おい虎蔵 そんなこと言わないで もっと俺をたすけてくれよ お前はすじがいいからな 立派な大工になれるぞ ありがとうございます。 でも俺 まだ俺の幸せを見つけていないので 旅を続けなくちゃいけないと思うのです そうか わかった 生活に困ったら またいつでも帰ってきていいからな 虎蔵はまた恋をしては失恋し 泥棒に会い 怪我をしたり病気になったりして でもそのたびに誰かに助けてもらい また虎蔵も誰かを助けたり 何人もの役に立ったりした 大工の仕事を辞め ふたたび旅に出てから2年の歳月が流れた 虎蔵は二十歳になった そして 陸地の東の果ての地にたどりつく 粗末な庵の軒下で雨宿りをしている虎蔵 その庵の主のお坊さんが声をかける 旅の方 そんなところにいないで 入りなさい 囲炉裏を囲む 旅は長いのか 十六歳で家出をして もうかれこれ4年になる なんでそんな長い間 ひとりで旅をしているんだ     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加