話は虎蔵の父と母の出会いから始まる

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俺は「俺の幸せ」を探しているんだ それで見つかったのかい 見つかっていないからこうしてまだ旅の途中なんだ なるほど それでは聞こう お前は旅のあいだ 幸せじゃなかったのか うーーん 怪我や 病気もした 泥棒にもあった ひどい奴もいた でも、親切な人たちもたくさんいた いや 断然親切な人たちの方が多かった 天使のような人もいた その人には悪魔も潜んでいたけど そうだな そう言われてみれば 俺は旅の途中 たいへんだったけど 幸せだったかもしれないな 今思いおこせば 苦しかった事も笑って話せる いい思い出になっちまったな お坊さん 旅の途中 俺は どっちかって言えば幸せだったよ じゃあ お前は もう幸せを見つけたんじゃないのか そうか 俺は幸せをみつけたのか つらいこともあったけど 幸せだったよな 確かに ということは 旅を続ける必要はないってことか 急に父さんと母さんに会いたくなってきたよ お坊さん ありがとうございました。 俺 生まれ故郷に帰ることにするよ お坊さん 幸せのありかを教えてくれて ありがとう じゃあさようなら お元気で 雨もあがったようじゃな 帰りの旅も 災難もあり 幸運にも恵まれる旅になるじゃろうよ 人生とはそういうものなのだから     
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