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快楽に溺れ、声を上げ続ける全裸の女性。彼女は目をとじ、腰を振り、自らを快楽の高みへと押し上げているかのようだ。
しかし京はそんな女の様子よりも、女の上で腰を振り続ける男に目を奪われていた。
男は右手に鈍く光る拳銃を持ち、その銃口は耐えず自分の下にいる淫らな女の左胸を捕らえていた。そして、汗にはりつく長めの髪の間から見えた口元は、…笑っていた。
「…んっ、あっ、あっ、あぁぁ!!」
女が絶頂に達した時、
ドゥン…!!
地面に広がる真っ赤な血液。アリたちがそれにゆっくりと飲み込まれてゆく。
完全に茫然自失の京に向かって男はゆっくりと首を巡らせた。そして口だけでニヤリと笑うとゆっくりと京へと近づいて来る。
頭の中で警鐘が鳴り響く。京は震える膝を叱咤しなんとか駆け出した。しかし男は冷静に、涼しげな表情を浮かべてついてくる。
沈黙が、不気味だった。
そして京は木の根につまずき……。
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