真実と、幸福を…

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「いやぁぁぁぁっ!!」  『レクイエム』の中に悲鳴が響いた。京の着ているワンピースは、京が殺されるくだりで益々赤く、益々美しく咲き乱れた。  慧は横になり苦しむ京を無表情で見下ろす。 「殺さないでっ!!」  見る気はなかった。  誰にも言わないから。  だから、助けて。殺さないで……。  京がゆっくりと落ち着きを取り戻す。  耳を澄ますと微かに、オルゴールの不思議な音色が聞こえて来た。  慧はゆっくりと京を抱き抱えると、十字架の真下に彼女を眠らせた。 「苦しむことはないよ…」  慧はゆっくりと彼女に語りかけた。 「ほら。聞こえるでしょ?君への鎮魂歌が。大丈夫。音を辿ってごらん?」  慧がぽんっと額を叩くと、彼女の閉じられた瞳から一筋の涙が流れた。そしてその身体は徐々に空気へと解けていく。  …彼女はゆっくりと、消えて逝った。
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