◇9◇ 絵画コンクール

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   「あなたが手荒なマネなんかするからですよ。」 「〝手荒〟って・・・人訊きが悪いな。」 「そうでしょう。いったいいつから判ってたんですか。」 「愚問だな。お前を見ていなかったとでも思っているのか。全く。彼女ごときに絵の才能でも褒められたのか?  下らないなぁ、全く。コンクールが終わったら帰ってきなさい、〝自主的に〟そうしたらバーも彼女も放っておいてあげよう。」 「あなたは、そうやっていつでも力で人を従わせられるって思ってますよね。俺は、嫌いです。」 「お前に好かれたいなんて思ってない。会社のために帰って来いと言っているんだ。」 「〝自分のため〟でしょう?」 「それで、答えは?」 「彼女には、手を出さないで下さい。」 「よし。  修復不可能な別れ方をするんだな。それが彼女への優しさだぞ。」 「コンクールまで待っていて下さい。」  苦渋の決断であった。   
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