◆10◆ 忍び寄る別れの魔の手

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    気迫に負けてしまう。もちろん罪悪感が無いわけではない。 「そう言っているようにしか訊こえなかったわ。」 「おい、月依!」  スタスタと歩いて行ってしまうのでつい、名前で呼び止めてしまった。 「気安く呼ばないで!」  止まることなく一喝してオフィスに入った。  》 》  私には、門出が待っていた。  2人の夢を叶えて2人で前だけ見つめて暮らして行こうという細やかな倖せを私は、大切にしていた。大切にしたいと思っていた。  誰になにを言われても私は、彼だけを見つめると誓っていたから過去のモノになんか触れた などなかった。  《 《 「おはようございます。」  重苦しい気持ちを引き連れて車に乗り込み挨拶をする。 「あぁ、おはよう・・・燵夜。」 「「おはようございます、燵夜さま。」」  運転手と秘書も返す。 「経済学部での手続きは、終わったか。」   
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