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父の冷酷さを忘れていた。自分が愛する人の道を閉ざす妨げにならないことだけがいま出来る全てだと信じて手放す道を選ぶ。
「(こんな、守り方しか出来なくてごめんね。月依さん・・・)」
心が枯れていく・・・。
》 》
人の心の中は、覗けはしない。もしも覗けたのなら、自分の渇きにばかり目をやらずに彼の苦悩に寄り添えたのに。
私が全てをお膳立てしたのに。
私は、見たいモノしか見ずにあのころ暮らしていた。だからこそ落とし穴と私の世界を回す神さまの不平等さを忘れていた。
私の世界は、不平等と不公平で出来ている。
《 《
「燵夜くん・・・まだ帰ってないか。」
早く上がれたのだが彼は、部屋に居なかった。
「あら、片付けたのね。」
作業部屋に入るとなにもかもが綺麗に片付いていた。元の客間に戻っていた。
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