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「作品を仕上げたら片付けるタイプなのね。いいことだわ。」
きちんと整理整頓がなされていて感心する。
「はい、はーい・・・あら噂をすれば。」
ポケットの中のスマホが震え取り出すと彼からの着信だった。
「月依さん。早く電話したかったんだけど・・・」
「いいのよ。どうかした?」
「今夜は、帰れないんだ。」
「そう、大丈夫よ。私も残業だから。」
嘘さえなんてことない。
「そっか。じゃあ、また明日だね。」
「ええ、そうね。」
恋人言えども呆気ない電話を切ってソファーに座る。やはり寂しいものだ。
「月依さん・・・ごめんね。やることがあるんだ。」
灯りの見える窓を見上げながら謝った。
優しい嘘を付いてくれた大切な人のためにいま出来うるあらゆる手を打っておきたかった。別れを告げる日までもうお時間は、そうない。
「マスターお久しぶり。」
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