◆10◆ 忍び寄る別れの魔の手

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   「俺は、それを後悔してる。2人で逃げればよかった・・・と。全てを捨てて・・・」 「俺もそうしたけど・・・術が見付かりません。」  もう戻れない所まで来てしまった。 「燵夜。別れるにしても、よく話し合え。」 「判りました。」 「月依のことは、任せろ。」  小さく姿が痛々しくて見ていられない。  》 》  〝愛する〟とこは、とても残酷。想いが募るほどに残酷になっていく。  彼の想いを私は、知らなかった。私の想いも彼は、知らない。  それでよかった。  同じ道を歩めないのだから。すれ違ったままでいい。私の世界は、不平等で回っているのだから。  》 》  絵画コンクールの受賞発表が間近に迫っている。 「月依さん。」  隣で眠る愛しい人に声を掛ける。 「ん・・・おはよう、燵夜くん。帰るって言っていた日からだいぶ経ったわね。」   
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