◆10◆ 忍び寄る別れの魔の手

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    高熱と激しい吐き気に意識が朦朧(モウロウ)とするほどの酷い頭の鈍痛。 「う゛っ・・・ (な、に・・・前よりも、酷い・・・・・・)」  雨の音が響く部屋の中で具合の悪さに意識を手放した。  》 》  大切する本当の意味で大切にされると言う意味も私は、なにも判っていなかった。想いにも色々な形があることを。  結局は、〝誰かに〟守られ助けられているということを。  私は、いますごく実感している。  私の世界は、不平等で回っていてもほんの少しの優しさはあったこと。それは、〝愛する人〟が居ると言う倖せ。  〝愛〟がちゃんと私の中にあったからいま生きて行ける。  《 《 「月依さん、どう・・・か?」  絵画コンクールの発表会に着て行くタキシードとドレスを選びに来ていた。彼女に初めて着るタキシードを見せる。 「ふふ、似合ってるわ。」   
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