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「仕方ないわね。」
ボックスには、先客が居る。仕方なく公衆電話の方に入り番号を押した。
「月依、さん?」
「そう。よく判ったわね。」
すぐに名前を呼ばれて嬉しくなった。
「心配してたんだよ。」
「ごめんね。急な出張に行かされちゃって。充電も切れちゃったのよ。」
「そう。気を付けてね。」
「ええ。明後日には、帰るわ。」
電話を切った。
明るい声に少しだけ励まされたが罪悪感は、残る。病院にいい思い出などない。
》 》
嘘が上手になっていいことは、余計なことを詮索されないこと。私は、誰にも本心を言う気などない。
でもこの想いを書き記しておきたい。
《 《
「ただいまー」
2日後の夕方に家に帰り着くと彼の姿がなかった。
「あら・・・」
出迎えてくれることを少なからず期待してしまっていた。
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