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太陽は暇さえあれば、地球にアプローチをかけてきます。
それは、回りの星たちにとって、見慣れたというよりも見飽きた光景だったので、誰も興味を示すことはありません。まるで、何も起こっていないように、振る舞っていました。
アプローチをかけ始めた頃には、視線を集めたり、噂の対象になったりしたものですが、今ではそんな星はどこにもありません。
自惚れやで目立ちたがりの太陽にとっては、おもしろくありませんでした。もっと自分に注目してほしかったのです。
「地球が美しく輝くためには、俺が必要だろう? つき合おう。返事はきかなくても分かっているから」
いつも同じような言葉を繰り返す太陽に、地球は聞こえないように溜息をつきます。
太陽の中では、「ええ、嬉しいわ」という返事をしていることになっていることは、最早考えなくても分かっていることでした。
でも、それでは困るのです。地球には、他に思いを寄せる相手がいて、太陽と恋人になるという選択肢はなかったのです。
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