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使い魔とはいえ、感情がある以上、主に恋心を抱いてしまうケースがないわけではない。
特に異性の主に仕えると、その感情に目覚めるなという方が、難しい時だってあるのだ。
たくさんの時間を共有して、死線を潜り抜けた相手に依存をし、愛情を感じてしまうことは、感情に素直な性質の使い魔にはよくあるケースだった。
しかし、契約という繋がりが切れてしまえば、その感情自体がなくなってしまうのが普通であり、ネオンのように未練を感じてストーカー行為に走ることは稀であった。
「規約にもあるように、特別な感情を抱いた場合、双方の合意が得られなければ、契約は終了だ。残念ながら、彼は恋愛感情を抱いた使い魔は扱いたくないと言っている。契約は終了しているんだ」
それを聞きながら、ネオンはその瞳に大粒の涙を溜めて、「分かってる、分かってはいるの」という言葉を繰り返すのみ。
頭では理解していても、感情が伴っていないことは容易に判断することができる。
「明日、私が直々に迎えに行く。素直に帰るか、連行されるか選んでもらうことになるぞ。このようなやり方は本意ではないが、今の状態ではもう外に出すわけにはいかない」
その言葉は、使い魔として生きるか、罪人としてい来るか選べと言われているに等しかった。
主を得ることができない使い魔は、どこかに幽閉されてしまうという噂を聞いたことがあったから。
自分がその運命をたどることを思うと、辛い。それでも、ここから離れることはできそうになかった。
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