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ふと、湖面に視線を移す。そこには、主と新たな使い魔が映っていた。
それも、一番近づいてほしくないと思える相手──ネオンと実力が近く、互いに競い合っていたライバルの使い魔だった。
負けたという感情と奪われたという感情が溢れて、「ああああああぁぁぁぁあぁ!!!!!」という叫び声と共に、堪えていた涙が堰を切ったようにあふれ出す。
それから、ひたすら泣いた。時間も忘れて、ただただ、泣き続けた。
気づけば、ラスタが迎えにくる日へと変わっていて、ネオンは途方に暮れたのだった。
湖面には主と新たな使い魔が映り続けている。しかし、不意に視界がぶれた。「映し鏡」の魔法に、誰かが干渉しているのだ。
主は消え、新たな使い魔だけが映り、何かを語り掛けている。映像でしか分からないが、唇の動きや表情から、ネオンを挑発しているのは明らかであった。
『私が見せた幻で泣いている暇があるのなら、早く帰ってきて、私と勝負しなさい。勝手に隠居するなんて、許さないわよ』
そう、主と新たな使い魔が映っていた時点で、既に「映し鏡」は、彼女の支配下にあったのだ。
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