現に見る夢

6/6
前へ
/61ページ
次へ
ネオンを罪人にしないため、気持ちの区切りをつけさせようとしてのことだった。 自分が介入すれば、、ネオンが奮起するのではないかという望みに賭けて。 張り合う相手がいるからこそ、高みを目指せることを彼女はよく分かっていたから。 それを見た瞬間、ネオンの中から何かが落ちた気がした。 それが何であるかは分からない。主への恋慕はまだ残っているけど、前を向いて、歩いていかなければいけないような気がしたのだ。 ネオンはうつむきながらも、立ち上がる。 「帰らなければ」──その気持ちが芽生えたから。 ネオンはもう湖面を見つめることはなかった。 次はいつ訪れるか分からない召喚の時を待つため、使い魔たちが集う故郷へと転移してゆく。自ら帰る道を選んだのだ。 湖面には、まだライバルの使い魔が映っていたが、ネオンの転移を見届けると安心したように笑い、そして、消えていった。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加