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ここで養成されるスパイは『秘密戦士』と呼ばれ、民間人を装って敵地に潜入。情報収集にはじまり、破壊活動、機密売買、要人暗殺など、後方攪乱の任に就き、秘密戦士ひとりが、敵一個師団の動きを封じる戦闘能力を持つことが目標とされた。
余談になるが、昭和49年(1974年)フィリピン領ルバング島から帰国した小野田寛郎元陸軍少尉は中野学校出身の秘密戦士であり、日本帝国の敗戦を知りながら、たったひとりで対米軍ゲリラ戦を二十九年間継続し、戦中当時の上官から直接命令解除の書状を手にするまで戦闘中止を拒んだ日本軍最後の兵士であった。この実話ひとつをとっても、中野学校出身者の恐るべき執念と闘志、そして高度な戦闘生存能力を評価しない訳にはいかないだろう。そんな恐ろしき秘密戦士を育てた岩畔中佐が「我が手に負えぬ」……と、さじを投げた少女。
今、地下室に捕らえられている猛獣、真清田博子とは何者であるのか?
――まったく気味が悪いぜ。あんな可愛い娘が……。
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