はじめまして、僕はあなたが大好きです

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 その言い方がなんだかおじさんのように感じられて、思わず笑ってしまう。 「大沼さんだって、まだ若いじゃないですか」 「いやーアラサーはそろそろ若いって言えなくなってきてますよー。この間も新卒の子に、もうおじさんですねなんて言われちゃって」 「えー、それはひどい! ……あ、そうだ。冷凍庫!」  私は思い出したことがあって慌ててキッチンへと向かった。 「大沼さんー、すみません。うちの冷凍庫……」  中古で買った冷蔵庫は当初から冷凍庫が壊れていた。そのため、冷凍庫だけ別に買ったのだ。それを伝えようとキッチンにいる大沼さんに声をかけると――そこには当たり前のように冷凍庫にシャーベットを入れている大沼さんの姿があった。  冷蔵庫に付属している方ではない、冷凍機能だけが付いているそれに――。 「大沼さん……?」 「はい?」 「……それ、冷凍庫だって私言いましたっけ?」  一見するとただのボックスにしか見えないそれは、初見では到底冷凍庫だとは思えないデザインをしている。なのに、どうして大沼さんはそれが冷凍庫だと分かったんだろう……。 「大沼さん……?」 「――なんとなく、ですよ」     
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