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 ***  私はいつになったら泣けるのだろう。  泣いてしまえば楽になるのに。  全ての感情を吐き出してしまえば、後は清々しい気分になれるのだろうか。  私はあの日についた嘘と一緒に、感情を置き去りにしてきたみたい。  それを探しに来た駅のホーム。  湿っぽい空気が構内を満たしていた。  そういえば梅雨入りをしたと、朝のニュースで言っていたのを思い出す。  たいして気にならない話題だったけれど、私の代わりに泣いてくれるのなら好きになれそうだった。 「元気でね」 「手紙も書くし、メールもする」 「ちゃんと返事書く。浮気しちゃ駄目だからね」  若い男女だ。ホームで、電車に乗り込む彼氏を涙目で見つめている。  お互いに本当に好きなんだろう。言葉の一つ一つに優しさを感じる。  今日は日曜日。  きっと遠距離恋愛をしている二人が、別れを惜しんでいるのだろう。  私も、三年前は彼らと同じような会話を交わして別れた。  でも私はあんなふうに、優しくはなれなかった。  彼は都内の大学へ行くために、このホームから旅立った。その日は雲一つない快晴で、私の気持ちを逆なでするようだった。
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