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「あの、ずっと好きでした!」
車内アナウンスが聞こえなくなると同時に、彼は叫ぶように告白してくる。
また注目を浴びてしまう。
「い、いきなりすぎません?」
私もいきなり恋愛対象とは言ったけれど。お互いに何を焦っているんだろう。
「教えてくれますか? あなたのこと」
「僕も知りたいです」
素直な人。優しい人。
話したこともない私を気にしてくれた人。そんな彼を私も気にしていた。
不思議な出会い。
「で。本当にネックレス直せるの?」
「やってみます!」
可愛らしい嘘が好きになっていく。
人を騙すのではなく、人の心を穏やかにしてくれる彼の嘘が私は好き。
「直せるんじゃないの?」
私は堪らなくなってふき出す。
「いや、その……」
「ごめんなさい。あんまり可笑しくて」
久しぶりに思いっきり笑った。久しぶりに泣くほど笑えた。
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