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 *** 「気をつけて」  私はそう言って荷物を彼に渡す。中に私からの手紙を忍ばせて。 「大学、留菜(るな)と一緒なんだってね。最近、聞いたよ」 「あ……言ってなかった……かな」  頭を掻きながら瑛人(えいと)は誤魔化す。全部知ってるくせに、そうやってとぼけるなんて酷い。  そのピアス、瑛人好みじゃない。  その香水って誰のもの?  寒くもないのにマフラーなんて巻いて……どうして? 「昨日、留菜とここでお別れしたの」 「そうだったんだ。莉子(りこ)と親友だもんな」 「でもおかしいのよ。直前まで大学どこへ行くか教えてくれなかったの」  嫌味。私はあなたを試してる。  笑いながら、あなたの感情を探る。  あなたが謝ってくれたらなんて期待してる。 「莉子と別れるのが辛かったんじゃねえの?」 「そうかしら」  嘘つき。私もあなたも、嘘で固めたような会話をしている。  早く別れを切り出せばいいのに、瑛人は遠距離恋愛をして私をキープしながら、留菜と付き合う気なんだ。  最低。  最低な馬鹿なのに、どうして好きになってしまったんだろう。
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