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僕は再び白い塀の前に立っていた。
右の方から潮のにおいがした。
左の方からはきれいな鳥の鳴き声がする。
どちらにも特に興味はなかった。
また同じように僕は棒切れを立てる。
そのとき、僕の横をなにかが通り過ぎた。
コツン。
彼女は、道にしゃがんで棒切れをつついた。
僕の方を振り向いて笑うと、彼女は棒切れが倒れた方へと駆け出した。
倒れた棒切れをそのままにして、僕は彼女の後を追った。
切れ切れになる息遣い。走り続ける彼女の後ろ姿が目に映る。
僕の目の前は青々と広がっていた。
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