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ベッドに座った姿勢のまま、夏樹は思い出した。
確か、鬼狩りの師匠である荒井莉櫻と一緒に、管轄内に現れた鬼を狩りに行ったのだ。
その戦闘中、夏樹は鬼に突き飛ばされて、建物の壁に激突した。そこからの記憶がない。
「あそこで気を失ったんだ」
目覚めたらなぜか宿直室にいたという疑問が解消されて、夏樹は納得した。この部屋は怪我人や具合の悪い人を休ませるための病室でもあるのだ。気を失った戦闘員もその括りに入っている。
「あのあと、どうなったんだろう」
自分が収容されているということは、ここは男子の宿直室に間違いない。自分以外に収容されている患者はいないようなので、少なくとも寝かせるほどの怪我人は出ていない。女子についてはわからない。あの場には、夏樹の友人、秋時の師匠、杉野美緒もいたはずだ。彼女のほうは大丈夫だろうか。
(それにしてもおれ、あのメンツの中で気を失うなんて)
鬼を追いかけて、その先で結果的に三パーティーが集結したのだ。莉櫻と夏樹、美緒と秋時、そして、怜と道冬である。
戦闘員の中でも若手で、それなりにできる面子のはずだった。
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