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「それは確かに名前は男っぽいし、一人称はぼくだし、顔は男子にも女子にも見えて可愛くないし、胸だって貧相ですけど」
「おまえはなにをいっているっ?」
本気で混乱してきた。その夏樹に、道冬はとどめの爆弾を投下した。
「ぼく、夏樹先輩がこういう恰好が好きとおっしゃるから頑張ったんです。夏樹先輩の彼女として」
「待ったあぁぁ!」
絶叫が飛び出した。
(待て、待て待てちょっと待て)
いまこいつはなんといった、と、夏樹は頭を抱えて脳内再生してみた。
『夏樹先輩の彼女として』
(ないないないない)
夏樹の彼女というなら愛利のはずで、そもそも大前提として道冬は男子のはずだ。いくら彼が中性的で可愛らしい顔立ちをしていようと、夏樹に男とつき合う趣味はない。
(おかしいな、頭打ったのはおれのはずなのにみんなのほうがトチ狂ってる……)
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