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(むしろおまえらのほうがおかしい)
そう頭の中でつづけてから、夏樹は道冬の手を払った。
「おれはそんなにおかしなことをいったか」
問いかけると、道冬は当たり前ですといった。
「美緒さんはともかく、秋時があの場にいるはずがないじゃないですか。鬼狩りでもないのに」
「はあ?」
夏樹は道冬を睨んだ。
「おまえなあ、秋時と相性悪いのはわかるけど、その言い草はないだろう。秋時だって鬼狩りになって三年なんだから」
「おげんこ!」
「いでぇ!」
いままでのどのおげんこより強い拳骨が降ってきて、夏樹はベッドにうずくまった。
「痛いっす、怜さん」
「殴ったら元に戻るかと思って」
(なんのことだよ。元に戻ってほしいのはそっちだよ)
そう脳内突っ込みを入れながら起き上がると、道冬がいつの間にかスマホを手にしていた。
「夏樹先輩、確かにぼくは秋時には懐かれてませんけど」
「懐くってなんだよ」
頭を押さえながら問うと、道冬は至極真面目にいった。
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