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「秋時ってぼくには懐きませんけど、美緒さんのことはとってもとっても大好きなんですよ」
「うん、知ってる」
秋時とはそういうやつだ。
「美緒さんがお家に男の人を連れ込むたびに噛みつくそうで、まるで番犬なんだとか」
「うん、知って……はああぁぁ?」
流そうとした言葉の中にどうしても聞き捨てならないものが混じっていて、夏樹は問い返した。
「美緒さんがお家に、なんだって?」
「え? 男の人を連れ込むたびに秋時が噛みついて……」
「待て待て待て待て!」
なんでもないことのようにとんでもないことをいう目の前の女子中学生に、夏樹は手を突き出して待ったをかけた。
道冬は不思議そうな顔をする。
「どうしました?」
「どうしたもこうしたも……美緒さんはこの第七支部きっての男嫌いのはずだろう!」
「おげんこ!」
「いだっ……」
何発目かもわからない怜からの拳骨をくらい、あまりの衝撃に夏樹はベッドに顔から叩きつけられた。
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