夏樹 IN パラレルワールド

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 鬼一匹に六人がかり。さすがに取り逃がすはずはないし、莉櫻に加え怜までいたのだから、まともに戦っても敗北は絶対しない。  そう信じられるくらい、莉櫻と怜は強さにおいて絶対的な信頼を勝ち得ているのだ。  たぶん、そのせいで油断した。周りが自分より弱い面子ばかりだったら、自分が何とかしなくてはと思っただろう。でも、戦闘員の二大トップがいるせいで、戦いの場だというのに安心しきってしまったのだ。  その結果が、傷を負って恐慌した鬼に突然ぶっ飛ばされ、受け身も取れずに吹っ飛んで気絶ときた。 (絶対莉櫻にどやされる……)  ただでさえ、左腕の怪我から復帰したリハビリに色々な特訓をさせられているのだ。これ以上メニューを増やされたらたまらない。だが、今回のこれは完全に夏樹の注意不足が悪い。  気絶で済んだからよかったものの、打ち所が悪ければ永遠の眠りについていたかもしれないと叱責されたら、仰る通りというしかない。特訓メニューが倍になっても文句はいえないのだ。 (疲れるなぁ。愛利に会いたい)
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