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心の中でぼやいて、天井を見上げる。愛利は、今日は昼からの出勤だったか。
(まだ昼じゃないのかな。おれが気を失って運ばれたって聞いたら、飛んできそうなものだけど)
それはそれで心配をかけるわけで、申し訳なくも思うのだが。
起きたらそばに愛利がいてくれるようなシュチエーションは、いまの夏樹にとっては最高の目覚めだ。
そんなことを考えながら、夏樹はベッド横の小さなテーブルを見た。その上には、夏樹のスマホと財布、いつも持っている鬼狩りの手袋と、折り畳みナイフが載っている。どれも戦闘中身につけていたものだ。
とりあえず時刻を確認しようと、スマホに手を伸ばした。
そのときだ。控えめなノック音が部屋に響いて、反射的にはいと返事をする。
スマホに伸ばした手も引っ込めてドアを見ると、入ってきたのは莉櫻と怜だった。
「ん……?」
さっきと変わらない、莉櫻と怜だ。しかし、なんだかなにかが違う気がする。
近い。二人の距離が、めったやたらに近いのだ。肩が触れ合いそうな距離である。
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