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「夏樹くん、よかった。目が覚めたのね」
んんん、と、夏樹は心の中で首をかしげた。
(怜さんて、敬語キャラじゃなかったっけ)
いまのしゃべりかたが、なんだか少し引っかかった。
夏樹の違和感を置き去りに、莉櫻が髪をかき上げた。
「まったく、心配させんじゃねえぞわんにゃんコンポコ」
「はっ?」
なんて? と、夏樹の声が思わず裏返る。
「だから、心配させんじゃねえぞっていってるんだわんにゃんコンポコ」
(なんだそれ)
いまって王様ゲームの罰ゲーム中だったっけ、と、夏樹は以前みんなでやった王様ゲームで、莉櫻が受けた語尾指定の罰を思い出した。
「莉櫻、おまえどうしたそのしゃべり方」
思わず問いかけると、怜がなにいってるの、と、こちらもまた違和感のある口調で返す。
「莉櫻といえば犬猫狐狸でしょ?」
「いやいやいやいや、意味わかりません」
そう答えると、怜はまあ、と口元を覆った。
「夏樹くんてばどうしましょう、頭を打ったせいで莉櫻の口癖も忘れてしまったみたい」
(怜さんがオネエ言葉とか勘弁してくれ!)
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