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頭を抱えたい気分の夏樹を前に、莉櫻が困ったように腕を組む。
「困ったもんだわんにゃんコンポコ」
(どうしよう、うざい。莉櫻がありえないくらいうざい)
いったいどうしたんだこの二人は、と、夏樹はいよいよ本格的に頭を抱えた。
(これは夢か? おれはいま悪夢を見てるのか?)
夢なら、どうやったら覚めるのだろう。
(考えろ、考えろ……)
そう頭を悩ませるそばから、莉櫻が顔を覗き込んでくる。
「いったいどうしたんだわんにゃん……」
なんだかその語尾がだんだん途方もなくイライラしてきて、夏樹は莉櫻の口を片手で封じた。
「もごっ」
長々しい語尾を強制終了させると、
「夏樹くん、おげんこ!」
そんな怜の声が聞こえて、脳天に衝撃が降ってきた。
「いてぇっ」
怜に拳骨を落とされた、ということより、おげんこ! という掛け声の方が衝撃的で、夏樹は頭を抱えた。
(おげんこってなに。おげんこって)
なにかがおかしい。二人して夏樹をからかっているのだろうか。そこまで考えて、いやと首を振る。
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