夏の想ひ出 三澤 由香里

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夏の想ひ出 三澤 由香里 2 「ああ!気持ちいい風。」と持参した水筒から麦茶を飲んだ その時 裏山の木々が 途切れている坂の中間辺りから 何か 楽器の音が聴こえて来ました。 「あら何かしら?」 ぷおー  プオー~! 「クラリネットかな」と自分もフルートをやるだけに 音楽 楽器とかも詳しい お嬢 (流石だなあ) 綺麗な 音色にふと ペンを止めて 聴きいっています ううむ あたしなんかにしたら なんでこんな音がするのよ 怖いなあ なんて ところなんだが さて 音が止まって 小山の坂道を 楽器のケースを持った 青年が降りて来ました。 「こんにちは 今 クラリネット 吹かれてましたよね とても綺麗な音色でしたぁ」 と 可愛らしい声で しかも とびっきりの美少女 お嬢から 声をかけられた 青年 吃驚しつつ「誰もいない思って 練習していたんだが まさかこんな可愛らしいお客さんがいたとは お恥ずかしい」とはにかみながら 「あっ 自分は永倉高校 二年吹奏楽部の皆木 優一(みなき ゆういち)です」 「私は 夕空中学二年 芸術部 三澤 由香里です。皆木さんは いつも ここで練習されてるんですか?」 「期末試験休みからだから 十日前くらいからかな。部活でさ クラリネット担当が辞めちゃってさ。急遽自分がやるように指令されちゃって。基礎の基礎 反復練習してます」 「そっかぁ 大変ですねぇ 私も  デッサンの基礎の練習みたいなものです」と なんのためらいもなく 自分のスケッチブックをパラパラっと見せる お嬢 ううむ 天真爛漫だなあ 「今 悩んでて 絵画って 基礎が大事って無論理解してるんだけど 別の次元で 大胆な発想とか 閃きって方が インパクトあるんじゃないかなって」 皆木青年 一瞬 考えるも「確かに それはあるかもだけどさ。でも 自分は 基本がしっかりしてて 忠実に描く美しさもあると思うな。絵について素人の僕が言うのもおかしいけどさ」 その時 お嬢 この言葉に何か 感じ入ることがあったようで 「あっ。そうですよねえ。基本はやはり 何事にも大切ですよね。ありがとうございます。なんか 少しわかったような気がします。」
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