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夏の想ひ出 盆踊りの夜
3
善照寺から すぐ裏にある 公園の入り口を抜けると 小山の広場に通じる 階段があるのですが
そこを上るのではなく 少し遠回りして 緩やかな坂道を登って行きます
その道筋には 盆踊りの町会の提灯が 灯りを点していて なんとも 風情があるからか 重坊さんや部長 高野君たちは カメラで写真を撮影しています
書く言うあたしは スケッチブックに サラサラって スケッチしたが
由香里お嬢も 涼ちゃんも 小さめな巾着袋から 小さなメモ帳出しては これも描いてるけど
ずるぅーーい なんで あたしだけ こんなでかいバッグに画材持って来てるのよぉー
なんて ちょっぴり妬ましく思うも
別に二人が 話し合ってそうしたわけでもなく 元々 体力ないお嬢は よくこのちっちゃいメモ帳使ってたし
涼ちゃんは これも昔から こうしてちょこっと描く用の小さめスケッチノート持ち歩いていたようで いっぱい 描かれていますね
さて なんやかんややってるうちに
ぴいひゃら ドンドン
お神楽が聴こえて来ては
皆 もう 芸術部のことよりも 早く 盆踊りの会場である 神社の前の広場へ行きたくなって 急ぎ足で登って行きましたね
あたしは お嬢のペースに合わせてゆっくりだけどね
すると なぜか 重坊さんも あたしたちの後ろから 悠然と歩いて来ます
「重坊さん なんで ちゅーさんたちと一緒に急がないの?」と お嬢が 聞けば
「なぁに 女の子二人だけにはできんべぇ それに 涼ちゃんには ちゅーさんついてるしなぁ」といやはや なんか 紳士的な重坊さんの一面見たなあ
そう言えば 重坊さんは 子供の頃から そんなところあったなあ なんて 思いつつも。。。。。
「ほれ? そのでかいバッグ わしが持っちゃるけん」と まさか あたしの荷物を持ってくれたのには なんか ビックリマーク
そりゃね あたしは スポーツ好きで体力あるから そんな女の子らしく扱われたのって なんかめちゃくちゃ 恥ずかしいっつうか 嬉しいって言うか
あはは 甘えて 渡しては あたしが 今度は お嬢の手を取って 登ったんだな
なんか このとき あたし お祭りだからか わかんないけど ふわふわした気分になってたなあ
つづく
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