夏の想ひ出 徳田 重胤

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夏の想ひ出 徳田 重胤 3 枕元には 父の住職から 譲り受けた 世界初のコニカのAFカメラを置いていますね いつもなら 寝付きのよい 彼も 今日は 自分の思い付きに興奮しては なかなか眠れなく 布団に胡座をかいては カメラを手入れしたりしてましたが 枕元にあった 旭カメラと言う雑誌を見ているうちに 寝てしまいました ジリーーーーーーー~!っと 目覚まし時計の音が響き 重坊さん  のんびりやの彼としては いつもより手早く 着替えて顔を洗い カメラ片手に 裏山の林へと 少しずつ 明るくなってきたなかを 歩いては 樹の下や 草原を丹念になにかを探しています 「いた~!」 彼は セミの幼虫が 羽化するところを探していたようですね。 まだ背中の割れていないセミの幼虫を まず 何枚か撮影して動きがあるまで待ちます 一時間? いや 実際は三〇分も経っていないけど 少しずつ 背中に亀裂が入ってきて パシャパシャシャッター音が 林に響くのも気にせず 一枚一枚と  緩やかながら なんとも言えぬ美しい羽化を撮影し続けて そして その瞬間が 朝日を浴びて 羽化したセミの成虫の羽がキラキラと輝く そこを 重坊さん 待っては パシャ~! 撮影しました 昨日見かけた セミの脱け殻から ヒントを得て その羽化の瞬間を切り取ろうっと した 目論見大成功 「輝き」と題したその一枚の写真は 夏休みの市のコンクールで 見事 銅賞受賞したのは 後日がですが。。。。 徳田 重胤君 夏の想ひ出のひとこまでした。 さて 次回は   我が学校法人のマドンナ 三澤 由香里の 夏の想ひ出へと つづく 
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