母じゃない日

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 手伝う、と言う二人に「今日ぐらいはゆっくりしといて」と微笑み、私は家じゅうを磨き上げた。夫と娘が掃除機をかけてはくれていたけど、さすがに細かいところまでは目が届かない。  そして、昼食はエビとアスパラのクリームパスタ。早朝にセットしておいたパンも美味しく形よくできあがっていた。 「お店みたい!」とクールな娘も大興奮だった。 「夕食は何が食べたい? 二人が食べたいものをつくるわよ」 「やったぁ、私、あれがいい! ミートソースとクリームソースが重なってる……」 「ラザニア? 任しといて!」 「僕は肉じゃががいいな。お惣菜も美味しいんだけどさ、君が作ったやつじゃないとダメなんだよなぁ」 「よし、和洋折衷でゴージャスに行きましょう!」  私は夕食の仕込みをしつつ、シフォンケーキを焼いた。  本当は一日置いて落ち着かせたいところだけど、これはこれで美味しい。  ロイヤルミルクティでシフォンケーキを食べる穏やかな午後――。  いつもの慌ただしいオフィスとは大違いだ。  夕食も美味しいと喜んでもらえて、大満足の一日だった。  私は計画を完璧にやり遂げたのだ!    ×   ×   ×  ――夢の中で。  13日、目が覚めたら夕方だった。日頃の寝不足と疲れのせいで、スマホのアラームも目覚まし時計も全部蹴散らしてしまったらしい。     
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