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1 また、会える?
さっきから、隣の男があからさまにオレの肩に寄りかかってきている。
電車のなかは比較的すいている。二限目からの講義の場合、そんなに混まないのが通常だ。その、たいして混雑のない車内、オレの右隣には若い男が座っている。ひと駅前まで彼の隣に座っていたおばさん連中がごっそり消えても、彼はオレとの幅を取るために座りなおすことなく、そのままここにいる。理由は簡単、爆睡しているから。ちなみに左側は手すりで動けない決定。
ふわふわした髪の毛が微かに頬に触れてくるから、さっきから微妙にくすぐったい。そして当然ながら重たい。
なんとなく右腕で押し退けようと努力はしてみるけれど、ビクともしない。きれいな女の子ならともかく、なぜに朝から男子を肩で支えてやらなきゃならんのだ。
という理不尽さの反面。
隣の彼は、なんだかいい匂いのする稀有な男子だった。むさ苦しい臭いが一切ない。いわゆる洒落た男子の部類なのだろう。服装はTシャツにジーンズでいたってシンプルなのに、ゴツい革のブレスをつけていたり、髪型が美容師みたいにさりげなく整っていたり、いい匂いがしたり、それからいい匂いがしたり。つまりいい匂いがする、うん。
ただ、実情を吐露すればこっちだって眠い。徹夜でレポートを書いてきたばっかりだから、可能なことならオレが眠りたいくらいなのだ。
車内に次の駅のアナウンスが流れた。
とたん、居眠り男はビクウッと全身で反応する。
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