90人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
僕と同じ事を感じたのか後ろにいるグレーテルは僕の手を力強く握り泣き出しそうな目をして僕の方を見た。
「大丈夫だよ、グレーテル」
僕はそう囁いて力強く握り返した。
「なるほど、赤ずきんの言ってる事もあながち間違いではないかも知れないね」
ラプンツェルは頷きながら言った。
「そうだろ、もしもの事を考えて今日はこの館から出ない方が良い」
赤ずきんがそう言ったのと同時に隣に座っていたおばあさまが口を開いた。
「赤ずきんや、あまり皆を困らせてはいけないよ」
優しい口調のおばあさまはそう言って赤ずきんを見つめた。
「すまないおばあさま…… 皆も驚かしてすまなかった。 あまり気にしないでくれ」
赤ずきんはそう言い終わると再び腰を下ろした。
人喰い狼か。僕はどんな狼なんだろうと考えた。
もしそんな奴が居たとしたら僕はグレーテルを守れるのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!