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「じゃあ僕は行ってくるよ」
小人はそう言って穴の中に吸い込まれるように消えていった。
ふとラプンツェルを見ると不安げな表情を見せていた。きっと自分が疑われて不安なんだろう。
けど僕はラプンツェルを信じている。それはグレーテルも同じだ。
あれだけ僕達の恐怖を少しでも和らげようとずっと側についていてくれたのだ。そんなラプンツェルが嘘をつくはずはない。
部屋の中は沈黙が続いていた。
シンデレラも昨日までの覇気はなく疲れている様子だった。
その時、穴から小人の姿がチラリと見えた。
「ただいま」
小人はそう言うと部屋の中央に来て僕達を見渡した。
「ラプンツェルの言う通り、部屋に女の人が寝ていた」
「私の言った通りでしょう? 」
ラプンツェルはそう言った。
やっぱりラプンツェルは嘘をついていなかった。
良かった。僕は安堵の溜息を漏らした。
「けどそうなるとこの女の人が怪しくなるね」
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